日本人とお酒 |
|
≪ お酒の神社 ≫
【大神神社】おおみわ‐じんじゃ すぎのみやしろ。三輪明神。
奈良県桜井市三輪にある元官幣大社。祭神は大物主大神おおものぬしのおおかみ。
大己貴神おおなむちのかみ・少彦名神すくなびこなのかみを配祀。
日本最古の神社で、三輪山が神体。本殿はない。酒の神として尊崇される。大和国一の宮。
【松尾大社】まつのお‐たいしゃ
京都市西京区嵐山にある元官幣大社。祭神は大山咋命おおやまくいのみこと・中津島(市杵島)姫命。
もと松尾山に祭られた。
奈良・大神神社 (三輪大社)
|
奈良・酒船石
|
京都・松尾大社
|
大阪・一心寺
|
【酒船石】さかふね-いし
奈良県明日香村にある古代の石造物。長さ約5m、幅約2m、厚さ1m。表面に凹みと溝が彫られ、醸造用とされるが不明。
近年、明日香村一体の飛鳥時代の巨石や蘇我氏と見られる古墳なども発見され研究が進みました。
2000年、酒船石がある丘の麓から発見された亀形石造物と名付けられた遺跡と、丘の中間地点からも石垣が発見された
事などから、斉明天皇時代に、これらは儀式を行うための一体的な施設として造られたそうです。
明日香村教育委員会文化財課の相原さんによると、酒船石は水を流して、その流れ方で占いをしたのではないか?
という見方が有力になっています。小さな笹の葉を浮かべて、水の流れによって占う「笹船石」だった可能性もあるようです。
巨石と水の都「飛鳥」 日本初の時計は水時計、酒舟石と関連遺跡が発見され、新たな見解に
【酒林】さか-ばやし (酒壺を「みわ」といい、酒の神を祭る三輪神社で、杉を神木とする縁によるという)
酒屋で、杉の葉を束ねて球状にし、軒先にかけて看板とするもの。酒箒さかぼうき、酒束さかたば、杉玉。杉林。
大阪市天王寺区にある一心寺には『酒封じの神様』として、德川の重臣であった本多忠朝が祀られています。
大阪市天王寺区 一心寺 色々と珍しいお寺
≪ 縄文時代には山ブドウ酒を飲んでいた ≫
昭和28年、長野県の井戸尻遺跡から、紀元前4000~3000年頃の大型の友孔鍔(ゆうこうつば)付き土器や盃のような土器、
山ブドウの種なども発見されているそうです。
室町時代1454年頃の辞書『撮壌集』に「酒類 葡萄酒」とあるのが文献上の初見とされるようです。
≪ 神話時代の神代酒じんだい‐しゅは濁り酒のこと ≫
味のよい美酒のことは、甜酒たむさけといった。
【酒の司・酒の長】くし-の-かみ
酒のことをつかさどる首長。古事記[中]「―常世とこよにいます、石立たす少名御神」
≪ 清酒は飛鳥時代にも存在していた≫
飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)跡から須弥酒(すみさけ)と書かれた木簡が出土。
713 (和銅6) 年の詔に基づいて撰進された地誌の一つで、現在の兵庫県南西部の播州地域の『播磨国風土記』には
清酒(すみさけ)の記述があり、濁り酒を絹の布で漉した上澄みの酒と考えられています。
また「酒殿を造りし処、即ち酒屋村と号け」という記述もあります。
|
≪ 神前酒 白酒と黒酒 ≫
奈良時代以前より存在していたとも言われる御神酒おみきに使われるお酒。
【白酒】しろ-き
大嘗会だいじょうえ・新嘗祭などに神前に供える酒。醴あまざけの事。
のに対して、焼灰を混ぜないものを言う。
万葉集に「天地と久しきまでに万代に仕へまつらむ黒酒白酒を…」とあります。
【黒酒】くろ-き
白酒にクサギの焼灰を混ぜたものを黒酒くろきと言った。
後世は黒ゴマの粉を混ぜた。
※ 後に灰持酒として現在まで継承されているようです。
【臭木】くさぎ 臭桐くさぎり、くさぎな 常山木。
クノツヅラ科の落葉小高木。山野に多く自生し、高さ3m。茎・葉に悪臭がある。
若葉は食用。古くから染料に使われた。 本草和名は「恒山、和名 久佐岐」。
≪ 日本人の酒豪 MAP ≫
日本人全体の60%が「酒が強い」と言われる酒豪。35%が、そこそこ飲めるが
あまり強くない中間派。5%が、酒の全く飲めない下戸。
都道府県別にみると、近畿・中部・中国地方に下戸が多く、東北・や九州に
酒豪が多い。
≪ 下戸(げこ)の言葉の由来 ≫
≪中国由来説≫
紀元前約200年の秦の始皇帝の時代。
万里の長城の門は上戸(じょうご)と呼ばれ、寒い山上にあった為 警備の兵
には酒を与えた。それほど寒くない平地の門の兵士には饅頭などの甘い物を
与えたので酒好きの兵士が上戸を守り、甘い物好きの兵士は下戸を守るよう
になったとか。
≪大宝律令(文武天皇、701年編纂)説≫
一戸のうち、男の働き手が6~7人いる家を上戸といい、3人以下の家を下戸と
呼ぶ。という取り決めの記述がある。
男の人数が多いと酒の量が増え、少ないと酒の消費量も少ない事から。
≪ お酒を呑まないのに酔っぱらう人がいる? ≫
コアラがほぼ一日中寝ているのは、ユーカリを食べると体内の酵母が作用して
体内でアルコールを作るためだそうです。
体内に酵母を持たないコアラも存在しており、そのコアラは活発に行動しています。
朝日放送 ビーバップ!ハイヒール 『大人のための動物講座』 17.11.16放送 より
人間にも稀にそういう人が存在するようで、アルコールがほとんど含まれない
普通の食事をするだけで酔っぱらってしまうそうです。
CNN 『飲まないのに泥酔状態 胃の中でアルコール醸造 米』 13.09.20 配信
https://www.cnn.co.jp/usa/35037488.html
『胃の中で食品を発酵させてアルコールを醸造してしまう病気と診断された米国の
男性の症例がこのほど、国際臨床学会誌に紹介された。
男性はまったく飲酒していなくても、呼気から異常に高い濃度のアルコールが
検出されていたという。
テキサス州のパノラ大学などの研究チームによると、この病気と診断されたのは
テキサス州に住む61歳の男性。過去5年の間、いつも酔ったような症状があり、
看護師の妻が呼気検査をしたところ、アルコールを一切摂取していなくても、血中
アルコール濃度が最も高い時で0.4%に達していた。
|
|
これは運転が認められる限界濃度の5倍の数値。2009年には1滴のアルコールも飲んでいないのに血中濃度が0.37%に
達し、病院の救急処置室に運ばれた。しかし当時の医師たちは、男性が隠れて飲酒しているに違いないと判断した。
翌年になってようやく、胃腸の専門医で24時間の経過観察や各種の検査を行った結果、男性の胃の中で食品が発酵して
いると診断された。
「胃の中で酵母が増殖し、糖をエタノールに変える発酵作用が起きていたと考えられる」と研究チームは解説する。
抗菌剤を投与して酵母の活動を抑えたところ、呼気からアルコールは検出されなくなった。この病気は欧米ではあまり知られて
おらず、過去30年で確認された患者は数えるほどしかいないという。
しかし研究チームは「失業や対人関係の悪化、さらには逮捕といった社会的問題にもつながりかねない」と警鐘を鳴らしている。
』
NAVERまとめ 『飲んでいないのに泥酔?体内でアルコールを生成してしまう人がいた!』 13.09.21 配信
https://matome.naver.jp/odai/2137972260748414201
【アルコール発酵】アルコール‐はっこう
酵母などの微生物の営む代謝により、糖類を無酸素的に分解してエチル‐アルコールと炭酸ガスを生じる発酵。
古くから酒造に利用されてきた。19世紀後半、ブフナー・パスツールらがこの現象の研究により酵素化学の基礎を築いた。
Newsweek 『アルコールとがんの関係が明らかに DNAを損傷、二度と戻らない状態に』 18.01.09 配信
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/dna2.php
≪ アルコール摂取が癌のリスクを高める ≫ ↓は上記リンクサイト↑より抜粋
英国のケンブリッジ大学のチームが科学誌「ネイチャー」にアルコール摂取が癌のリスクを高める事に関する発表を
行いました。
パテル教授によると「がんの中には、幹細胞のDNAの損傷が原因でできるものもある。
DNAの損傷はたまたま起こる
場合もあるが、今回の研究は、アルコールが損傷リスクを高める可能性があると示唆している」と話しました。
人間は通常、アルコールからのダメージに対して
2つの自己防衛機能を備えている。
1つは、アルコールを分解する
過程で生成されるアセトアルデヒドに対するもの。アセトアルデヒド脱水素酵素(
ALDH)が、有害なアセトアルデヒドを
酢酸に分解し、細胞のエネルギー源に変える。
ALDHの一種、
ALDH2が欠如したマウスにアルコール(エタノール)を投与したところ、
ALDH2が機能しているマウスと
比べ、
DNAの損傷は
4倍に達した。 研究チームは、この酵素が十分でなかったり欠陥があったりする人は、東南アジア
人に特に多いと指摘。科学系ニュースサイトのサイエンス・アラートはこれを受けて、
ALDH2が変異している人(つまり
うまく機能しない人)の数は、アジアに
5億
4000万人いると具体的な数字を挙げている。
2つめの防衛機能は、
DNAの修復だ。しかしこれが常に機能するわけでもなく、中にはうまく機能しない人もいると研究
チームは説明している。
【アセトアルデヒド】acetaldehyde
分子式 CH3CHO 無色の刺激臭ある可燃性液体。エチレンの直接酸化によって製する。有機合成の原料として重要。
エタノールの酸化でも生成し、
二日酔の原因。エタナール。
アルデヒドの一種。IUPAC命名法では エタナール (ethanal) ともいい、他に酢酸アルデヒド、エチルアルデヒドなどの
別名がある。自然界では植物の正常な代謝過程で産生され、特に果実などに多く含まれている。
FNN PRIME 『 日本人は酒に弱くなるように“進化”…「下戸遺伝子」の研究者が語る“弱い方がいい理由”』 18.05.07 配信
https://www.fnn.jp/posts/00307440HDK
朝日新聞 『酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明』 18.04.26 配信
https://www.asahi.com/articles/ASL4R6SXTL4RULBJ013.html
朝日放送 キャスト 『ニッポン人は強くないのにお酒好き』 19.09.10 放送
≪ 「下戸」は水田耕作地帯に多い病原体に対抗ために進化した結果か!? ≫
理化学研究所が2018年4月に発表した「下戸遺伝子」の研究によると、日本人の遺伝子は数千年、100世代ほどかけて
「お酒に弱い体質の人が増えるように」進化してきたそうです。
お酒の代謝酵素には「ADH1B」と「ALDH2」という2つのアルデヒド脱水素酵素が関わっており、日本人の多くがそれらの
酵素の働きが弱い「下戸」の人のほうが多かったという結果がでました。特に「ALDH2」酵素を欠損している割合が高い。
考古学で水田農耕の発祥地とされる中国南部と日本人に下戸遺伝子を持つ人の割合が多く、東南アジアなども下戸
遺伝子を持つ人の割合が、白人や黒人と比べて多い。欧米人などは酒を分解する2つの酵素の働きが強いという事です。
何故、「下戸」遺伝子を持つ人が増えるようになったか? は、まだ解明されていないようですが、マラリア原虫や赤痢
アメーバなどの血液に感染する寄生虫・病原体が赤道~中国南部にかけて多くおり、水田耕作地の感染症リスクに
対抗して進化したのではないか? と、北里大学の太田博樹准教授ら推測しているようです。
アセトアルデヒドは肝臓でアルデヒド脱水素酵素によって分解され酢酸になります。 酢酸は無毒ですが、アセトアルデ
ヒドは人にとって猛毒で血中濃度が高いと気分が悪いなど2日酔いの原因となります。
血液に感染する寄生虫・病原体にも毒であり、血中のアセトアルデヒド濃度が高いと増殖できない事が判明しています。
詳しくは、上記リンクのFNN PRIMEと朝日新聞および、その上のNewsweekのサイトも合せてご覧ください。
※ 米地帯である東北に下戸遺伝子が少ないのは、東北で地方で稲作が盛んになったのは江戸時代以降からの事だから
で、水田耕作の歴史が浅いからと考えていいと思います。
昭和の頃は水田の稲作は朝鮮半島から伝わったと思われていましたが、現在は中国南部から日本に伝わり、日本から
朝鮮半島に伝わったとするのが正しい認識になっています。
朝日放送 キャスト 『ニッポン人は強くないのにお酒好き』 19.09.10 放送
≪ 日本人は世界一、飲酒に寛容な国 ≫
米国ビューリサーチセンターが40ヵ国の「飲酒に関する」事を調査し、2013年に発表した
内容によると、「飲酒は道徳的に許される」と答えた人の割合が66%となり、また「道徳と
飲酒は無関係」と答えた人が25%も居た事から、日本は最もお酒に寛容な国だとされて
います。
米国は禁酒法の時代もあり、「飲酒に対しては後ろめたい」と感じている人たちも多くいる
ようで、アルコール依存症に対する意識も高いようです。
戦国時代に来日したポルトガル人宣教師のルイスフロイス (1532~1597) の記録に
『日本では非常に酒をしつこくすすめ合うので、ある者は嘔吐し、また他のある者は酔っぱ
らう。我々の間では、酒を呑んで前後不覚に陥る事は大きな恥辱であり不名誉である。
日本では、それを誇りとして語り「殿は如何なされた」と尋ねると、「酔っぱらったのだ」と
答える。』とあり、欧州人とは異なり、人前に酔った姿を見せる事は恥ではないという
事が分かるようです。
|
|
NHK・大阪 歴史秘話ヒストリア 『大坂城落城 その時おんなたちは !? ~侍女・おきく 知られざる証言録~ 』 14.01.15 放送
≪ 酒造りは老女の仕事だった?≫
日本酒造りの蔵は女人禁制で、酒造りの職人を蔵人(くらびと)という。
蔵人たちは酒造りの期間は、納豆やヨーグルトなどの発酵菌を蔵に持ち込まないように、それらを
食べてはいけないらしいです。蔵人の職人の長が杜氏(とうじ)と呼ばれる人たち。
平安時代、酒の甕(かめ)の事を「刀自」(とうじ・とじ)といい、それが杜氏に変化したという説もあり、
昔は刀自と書いていました。伊勢物語に「家 刀自」。
名言通という書物によると、『刀自はもと老女の称なり。されば老女にて酒を造りしならん』と
あります。刀自とは、年配の女性を尊敬した言い方なので、老女が口噛みで酒を造っていたのでは
ないか。という事のようです。
右の画像は、戦国時代~桃山時代頃のカルタの一つ。男たちが戦で留守にする事が多かった為、
|
|
女性の社会進出が目覚ましかった時代で、この頃の女性の地位は江戸時代より遥に高い。
【刀自】とじ、とうじ (戸主
トヌシの約。「刀自」は万葉仮名)
① 家事をつかさどる女性。とうじ。万葉集[20]「いませ母―面
おめ変りせず」
② 主に年輩の女性を敬意を添えて呼ぶ語。名前の下に付けても用いる。
欽明紀「青梅婦人
おおとじ」。宇治拾遺物語[3]「女―耄
おいて雀かはるる」
③ 禁中の御厨子所
みずしどころ・台盤所
たいばんどころ・内侍所
ないしどころに奉仕した女房。下臈
げろうの女官。
④ 他人に仕えて家事をつかさどる女性。いえとうじ。栄華物語[若枝]「宮々の―専女
おさめにても」
【大嘗祭】だいじょう-さい。おおなめまつり。おおにえまつり。おおんべのまつり。
天皇が即位後、初めて行う新嘗
にいなめ祭。その年の新穀を献じて自ら天照大神および天神地祇を祀る。
一代一度の大祭。祭場を2ヵ所に設け、東(左)を悠紀
ゆき、西(右)を主基
すきといい、神に供える新穀は
あらかじめト定
ぼくじょうした国郡から奉らせ、当日、天皇は悠紀殿、次に主基殿で、神事を行う。
【造酒児・造酒童女】さか‐つ‐こ
大嘗祭
だいじょうさいの時、斎場で神饌の御酒
みきを醸
かもす少女。悠紀
ゆき・主基
すきに定められた郡の
大少領の未婚の女性から選ぶ。
【悠紀の国】ゆき‐の‐くに
大嘗祭
だいじょうさいに、悠紀
(東方に設けられる祭場) に供える新穀を出す国。都の東方の国郡を卜定
ぼくじょうし、
平安時代からは
近江国に一定した。
卜定=吉凶をうらない定めること。
【主基の国】すき‐の‐くに
大嘗祭
だいじょうさいに、主基
(西方に設けられる祭場) に供える新穀を出す国。都より西方の国郡が卜定
ぼくじょうされ、
平安時代以後は
丹波・備中を交互に定めた。
令和の大嘗祭で奉納する新米「丹波産キヌヒカリ」の斎田 同じ地域の米が買える場所
読売テレビ ten. 『気ままな歴史散策で「篠山城下町」の文化と魅力に迫る』 17.11.22 放送
日本三大杜氏 (近年~現在)
岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏、兵庫県の丹波杜氏。
丹波杜氏は、京都の伏見や兵庫の灘五郷などの酒処に出張して酒造りを指揮してきました。
丹波の篠山町の丹波杜氏酒造記念館には酒造りに関する史料などが展示されています。
【杜氏】とう‐じ
酒造家で酒を醸造する長おさ。また、酒づくりの職人。さかとうじ。
|
|
≪ 平安時代には甘くて冷たい酒 禮酒(れいしゅ)を飲んでいた ≫
平安時代の宮廷では、様々な酒を造っていました。その中で禮酒という甘い酒があって、氷を浮かべて飲んだりした
そうです。以後、冷やした酒が飲まれるようになったのは近年になってから。
【造酒司・酒司】みき-の-つかさ、さけ-の-つかさ
① 律令制で、宮内省に属し、皇室の用に供する酒・醴
あまざけ・酢などの醸造をつかさどった役所。
② 酒司しゅ-し。律令制の後宮十二司の一つ。醸酒のことをつかさどった役。
【酒部】さか-べ
律令制度で、宮内省の造酒司
みきのつかさに属し、節会
せちえなどの酒の醸造をつかさどった職。
【献】こん
(呉音)酒杯をさす回数または酒食をすすめる度数を数える語。
客をもてなす時、膳に杯・銚子(・肴)を出し、酒3杯をすすめてから膳を下げるのを一献という。
鎌倉時代の随筆
徒然草「
一―にうちあはび、二―にえび、三―にかいもちひにてやみぬ」
【三三九度】さんさん‐くど。
三三九献さんさん‐くこん。
出陣・帰陣・祝言などの際の献杯の礼。三つ組の杯で3度ずつ3回酒杯を献酬すること。
【九献】く‐こん
① 杯を3献(3杯)ずつ3度さすこと。三々九度。 ② (女房詞)酒。狂言、花子「―を一つきこしめせ」
【酒】ささ (「さけ」の「さ」を重ねた語。一説に、中国で酒のことを竹葉というのに基づくとする)
酒をいう女房詞。
好色一代男[
1]
(井原西鶴作。8巻8冊。1682年(天和2)刊)「
少し―などこれよりたべまして」
【女房詞】にょうぼう-ことば
室町初期ごろから、宮中奉仕の女官たちが主に衣食住に関する事物について用いた一種の隠語的なことば。
のち将軍家に仕える女性から、町家の女性まで広がった。飯を「おだい」、肴を「こん」、鯉を「こもじ」、団子を「いしいし」、
浴衣を「ゆもじ」という類。
TBS ニッポンの出番 『知られざるニッポン再発見! なぜ日本人は居酒屋が好きなのか?』 15.03.24 放送
≪ 江戸時代、居酒屋は造り酒屋が始めた? ≫
江戸時代中期造り酒屋が店の隅で立ち飲みコーナーをつくり「
居酒致し候」という看板を出したのが始まり。
後に酒を飲ませるだけの店がどんどん増えていきました。
東洋経済オンライン 『「居酒屋」の真実をどれだけ知っていますか』 http://toyokeizai.net/articles/-/87017 より抜粋、よると
『続日本紀に761年に居酒屋風の店が存在していたことが記録されている。
京都では、すでに15世紀の室町時代に「下請酒屋」と呼ばれる立ち飲み屋があったと伝えられる。
「居酒屋」という言葉が文献に頻繁に登場するようになったのは18世紀頃…
』
ダ・ヴィンチ ニュース 『居酒屋の誕生は江戸にあり! ちょっと一杯飲みたくなるお酒の歴史』 15.12.19 配信
http://ddnavi.com/news/275757/a/ より抜粋
『その発祥が“江戸の町”にあったと解説するのは、文庫本『居酒屋の誕生』(飯野亮一/筑摩書房)である。
同書によれば、居酒屋の誕生は寛延年間(1748~51年頃)にさかのぼるという。居酒屋という言葉が使われるきっかけと
なったのは、現在の江東区深川付近にあったという「江戸三十三間堂」での事故とされるが、宝暦2(1752)年に記録された
書物『正宝事録』に、その詳細が記録されている。
』
コトバンク 『正宝事録』 しょうほうじろく
1648-1755年(正保5-宝暦5)の108年間の江戸の町触を編年集成したもの。
(中略) 1778年(安永7)の成立。
江戸時代の都市江戸に関する基本史料である。
富田通信 第157号(2000.10.10) http://www.vega.ne.jp/~tomita/2000/157.html 山形県の富田酒店のブログでは
『多くの出稼ぎ漁夫の集まった九十九里地方にも居酒屋があったらしく、文献によれば正徳二年(1712)に一軒できたのが
はじまりで、だんだんに増えて天保年間(1830~1843)には34軒を数えましたが、天保改革の取り締まりで、居酒屋は
ほとんど菓子屋名義に変わったとあります
』
御酒之寝言屋家頁 『御酒の話26 「九十九里浜の居酒屋」』 http://negotoya.sakura.ne.jp/gosyu26.html
上記の話は、1972年に東京の財界展望新社から出版された『酒鑑』芝田晩成著という本からの出典のようです。
1956 (昭和31) 年、横浜に養老乃瀧が誕生したのが、居酒屋チェーン店の最初だそうです。
それまで居酒屋は男性の社交場でしたが、店頭に価格を明記し食券制の前払い明朗会計を導入した事で繁昌しチェーン
展開できる事になりました。
酒造りの技術も西洋より上だった。
低温殺菌方法(55℃で数分間の加熱)は1865年、ナポレオン3世の
依頼を受けたフランスのパストゥールが発明したと言われています。
パストゥリゼーションという方法の名前で、ワインやビールなどの
腐敗防止に使われるようになった。
明治時代、外国人たちは日本酒をつくる「火入れ」という工程で、
昔から低温殺菌を普通にしていた事を知ってびっくりしたとか。
|
|
ルイ・パストゥール
1822-1895
フランスの細菌学者。
狂犬病ワクチンなどを
発見した。
|
|
|
TBS ジョブチューン 『現役知事大集合SP 知事同士のバトル勃発 ! ○○王国は我が県』 14.10.25 放送
≪ 酒の購入金額日本一の高知県 ≫
高知県には『献杯・返杯』という作法があって、後輩 (部下) から勧められた酒はすぐに飲み干し、先輩 (上司) は後輩へ
酒を勧め返すそうです。県知事は1日に100~200回ほど、これをがあるので、かなり酒豪でないと務まらないそうです。
可杯べくはい という高知県独特のおちょこは、底に穴が開いており指で押さえて呑まなければいけません。
また、呑み切らないとテーブル置けない (こぼれてしまう) 形の可杯もあるそうです。(一気に飲み干す習慣)
尾崎知事によると
「高知県民同士では、そんなの使わない。県外の人が来た時にかますために使う
」
高知県民女性が言う「お酒は
少々呑みます」=「日本酒
2升」の事らしいです。発泡酒消費量も日本一。
≪ 日本酒の消費量&酒蔵数 日本一は新潟県 ≫
富山県は日本酒消費量7位ですが、県内に蔵元が20
あるので、県民の7割が地元の日本酒を呑むそうです。
|
|
日本テレビ 所さんの目がテン! 『三重県に肥満が少ない理由③ 日本一酒を飲まない県』 16.02.28 放送
≪ 酒類購入金額が最も少ない三重県 ≫
三重県はアルコールを分解しにくいDD型の遺伝子を持つ人が最も多い。
沖縄は酒豪タイプのNN型遺伝子を持つ人の割合が7番目に多い (上にデータがあります) が酒類購入金額が少ない。
※ 必ずしも購入金額=摂取量とはならないので、データを参照する時に注意する必要があります。
平成24年の国民健康調査による都道府県別BMI値 (肥満度を表す) では、三重県が20~69才の成人男性・女性共に
最低値で最も肥満の人が少ないという結果。
この番組では、三重県に肥満の人が少ない理由を3つ挙げています。←
検証してみました。詳しくは味の基本のページで。
厚労省の都道府県別肥満と野菜摂取・食塩摂取 (平成18~22年平均、成人男性・成人女性別) の一覧表によると、
肥満率の全国平均値は31.1%、三重県29.2%となっています。最も少ないのは山口県22.1%。最も多いのは沖縄県45.2%。